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最近読んだ本

2024.09.25
THOMAS
  • 読書
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🌝月と六ペンス サマセット・モーム
🚢方舟 夕木春央
5️⃣五分後の世界 村上龍

 

月と六ペンス

ある日なぜか突然「サマセット・モーム」という言葉が頭に浮かんで、すぐにネットで調べてモームの代表作「月と六ペンス」を買いました。
いままでまったく読んだことも話題にしたこともない作家の名前だったので、自分の記憶の奥底にあったものが急に出てきたことに驚きました。

それで内容はというと、芸術に取り憑かれた主人公ストリックランドが、突如として仕事や家族、財産などすべてを捨てて画家になり、絵に没頭していく物語です。
出奔する40歳まで株の仲買人をしていたというところから、同じ経歴のポール・ゴーギャンをモデルにしていることが分かります。

 

ストリックランドは常識からすれば最低、自己中心的でまさに外道な男なのですが、芸術にだけは常に真摯で、自分を犠牲にまっすぐ突き進みます。
芸術至上主義者なので他のことには一切目が向かず、いつも貧困の中にあって、しょっちゅう病気にかかって死にそうになっているという、なぜか憎めないキャラクターでもあります。

とてもユニークで魅力的な登場人物だと思い、読み終わった後に調べてみると、サマセット・モーム自身が小説家で、医師で、MI6諜報員で同性愛者…という設定盛りすぎで、普通ならボツにするキャラのような人だったようで、本人がそうならさもありなんと思いました。
あと、この作品が描かれた時代(1919年)のイギリスでは、まだ同性愛が法律で禁止されていたので、その抑圧がモームに、社会規範に反抗するストリックランドが主人公の『月と六ペンス』を書かせたのかもしれません。

 

時々差し込まれる皮肉も強烈で、100年以上も前に書かれた切れ味鋭い表現にニヤリとさせられます。

 

「なるほど。きみももう少し歳を重ねればわかるだろうが、よけいな世話は焼かずにいるのが一番。悪いが、左を向いてくれ。玄関が見えるだろう。では、よい一日を」

 

 

 

 

方舟

話題になっていたので久しぶりに読んだミステリー小説です。
内容は、山奥の地下建築に閉じ込められた主人公たちが、流入する地下水というタイムリミットに追い詰められながら、並行して起こった殺人事件の犯人を探す密室スリラーです。

 

2010年のチリの落盤事故を思い出して、そのシチュエーションでさらに殺人鬼も紛れ込んでいるのかと思うと、読んでいて息が詰まりそうで恐ろしかったです。
たまたま読んでいたのが新幹線のぞみの車内で、奇妙ですが時速270kmで移動していることに生きている喜びを感じました。まさに「希望(エスペランサ)」…。

 

この小説はこれ以上説明すると面白くないので説明しません。
文庫版で読んだのですが、すでにコミカライズもされていて、すぐ読めるので尺的にも舞台的にも、これから映画化されそうな作品です。

 

 

 

 

 

五分後の世界

第二次世界大戦で日本がポツダム宣言を受け入れず、連合国軍とゲリラ戦を続けていた世界があったら?…という設定の架空戦記・ディストピア小説。
主人公はそのパラレルワールドに気がついた時には放り込まれていて、徐々に自分の置かれている状況がわかってくるのですが、彼の視点からその過酷な世界と対比するように現代の日本が批判されます。

 

日本人の人口は26万人までに減っているのですが、国民兵はいずれも精鋭揃いで誇り高く、日本人であることにプライドを持ち、日本で生まれた移民との混血児たちから尊敬を集めている…というところと、子供たちもみんな利発で肉体的にも優秀というところが、彼らにニンジャのようなイメージを持たせていると感じました。

 

 

あと思い出したのが、この前見たアニメ『今、そこにいる僕』(1999年)です。

活発な少年の主人公シュウ(cv:岡村明美さん。同時期に始まったONE PIECEのナミの声も担当されています)が飛ばされた異世界は、荒廃した砂漠にある独裁軍事国家でした。

 

シュウ

シュウはすぐに捕まってしまい、拷問され、少年兵として徴用されます。
それから子供たちがむごい目にあう描写がたくさん出てきますが、そんな中にあって一瞬でも美しい瞬間を描いている部分もあるのが、かえってこの世界の残酷さを引き立てていて一層気分が沈みました。
しかも監督はPeace and Afterが2回コラボさせていただいた『僕とロボコ』のアニメの監督でもある大地丙太郎さん。ギャグとシリアスの振り幅がすごいです。

 

で、シュウが元いた世界を背景にしたエンディングを放心状態で眺めていると、「制作 AIC」の文字が。

 

 

 

…ア、

 

アマガミ』や!

 

 

株式会社アニメインターナショナルカンパニー
10年以上前に私がブヒっていたギャルゲー『アマガミ』のアニメの制作会社さんでした。

 

しかも『今、そこにいる僕』のヒロインのララ・ルゥの声を当時14歳だった名塚佳織さんが担当されていて、その11年後の『アマガミSS』(2010年)でもヒロインの一人の絢辻詞の声を名塚さんが担当されていました。

 

ララ・ルゥ

 

絢辻詞

 

僕は、桜井梨穂子ちゃん!

 

桜井梨穂子

 

…と、だいぶ話が逸れましたが、これで3冊の本の紹介を終わります🥮٩(ˊᗜˋ )

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THOMAS

トーマス・モリス(Thomas Morris)。Peace and Afterのデザイナーです。