セカイ削る話
the pillowsの『Wonderful Sight』という曲は、レディオヘッドの『Ripcord』がメロディの元ネタなんですが、ジャケットもリップコードからのイメージだったんですね。
リップコードとは、パラシュートを開くための綱や、気球を急降下させるためのガス排出口を開く引き裂き縄のことです。
もうすぐなんだ
キミはいなくなって
風だけが騒ぐ
a just wonderful sight– the pillows『Wonderful Sight』
それで、この曲を聴いていたちょうど同じ時期に『なるたる』を読んでいたのですが、その中に出てくる小森という男の子のイメージと重なって見えていた曲です。
ほんとにそんなことできんのかよ!?って話なのですが、『なるたる』は最初、子供たちがパートナーデジモンみたいなキャラといっしょに『学園戦記ムリョウ』みたいなSFの青春群像劇になるのかと思ってワクワクしながら読んでたらセカイ系の話で、どんどん凄惨になっていったので驚きました。
で、登場する子供たちがそれぞれ持っているデジモンみたいなのは「竜の子」と呼ばれる生き物で、テロリストの小森くんが言うように彼らとリンクすることで実際に世界を変えるようなパワーを持つことができます。
作者の鬼頭莫宏先生は次作の『ぼくらの』で、セカイ系の代表とされているエヴァみたいに子供たちが搭乗するロボットものを描かれていたんですが、そのあと「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の冒頭に出てくる第3使徒のデザインを担当されていて、設定資料集によるとその使徒が拘束されている布がストライプになっているのは『エルマーのぼうけん』の竜がモチーフだからだそうです。
それで、話をpillowsに戻すと、『Wonderful Sight』が収録されているアルバム『RUNNERS HIGH』の中で一番好きな曲が『Midnight Down』なのですが、
世界を吹き飛ばして自由だけを吸い込んだ
暗闇をくぐり抜けて
キミの顔しか見ないんだ
midnight down– the pillows『Midnight Down』
キミと出会って僕は変わった、というラブソングなのですが、作曲された山中さわおさんがこの曲について、『Midnight Down』の「Down」というのは実は羽毛の「ダウン」のことで、あるとき羽毛布団から出ていた羽根を見つけてフッと息で吹き飛ばしたときに、その羽にとっては世界が一瞬のうちに変わって見えたハズ…と思ったことからインスピレーションを得てこの曲を書いた、と昔ラジオで話されていた記憶があるのですが、そのことが今回のセカイ系の話と重なりました。
「世界のカタチに合わせて自分を削るか 自分のカタチに合わせて世界を削るか あんたはどうする?」
スケールのデカいストーリーになると、よく世界のシステムとか世界そのものを変えることがゴールになったりするのですが、実際のところ現実にはそのための竜の子もエヴァも巨人の力もベヘリットも無くて、世の中のほとんど全ての人間は自分を変えるしか方法がありません。
それで、コップの半分の水の例え話みたいに、拭けば飛ぶような自分でも、解釈次第で現実はどうとでも変わるということが『Midnight Down』の内容で、私が勝手に小森くんのテーマソングにしている『Wonderful Sight』とは対照的な曲だと思っています。
…と、世界は変えられないという前提の話を書いたあとでなんなんですが、きょう世界を変えるために東京都知事選の投票に行ってきました。
で、そのあともちろん外食してきました☆
選挙の日ってウチじゃなぜか
投票行って外食するんだ
奇跡見たいすてきな未来 意外な位すごい恋愛
LET’S GO! (LET’S GO!*3 LET’S… PEACE! PEACE!)– モーニング娘。 『ザ☆ピ〜ス!』