【トーマスーツ旅行】岩手【2日目】
マルカンビル大食堂
ホテルをチェックアウトした後、お昼に花巻にあるマルカンビル大食堂に行ってきました。
ここもドラマ『#居酒屋新幹線』の新花巻編で紹介されています。
ドラマの中で田中要次さんも解説されていましたが、元々はマルカン百貨店というデパートで、2016年に惜しまれつつ閉店。
そのあとクラウドファンディングなどの支援によって、2017年にマルカンビル大食堂として復活しました。
1階は物販スペースや催事場になっていて、エレベーターで6階に上がるとそこは昭和のデパートの食堂。
可能な限り当時の内装や設備が使われていますが、わざわざ食券を買わなくてもいいようにテーブルでモバイルオーダーができるようにアップデートされています。
休日ということもあり、かなりの人で賑わっていました。
ボリュームたっぷりの昼食を済ませてから、田中要次さんが運転手役をやっていた文化タクシーに乗って、新花巻にある宮沢賢治記念館に向かいます。
宮沢賢治記念館
岩手といえばイーハトーブ。
前日に行ったのが奥州藤原氏の理想世界で、今日は宮沢賢治の理想郷です。
そのアーカイブを見学しに、宮沢賢治記念館を訪れました。
宮沢賢治作品は数えるほどしか読んだことはないのですが、アニメ『輪るピングドラム』にモチーフとして使われていましたね。
宮沢賢治が生前に出版したのは、童話集『注文の多い料理店』と詩集『春と修羅』の2冊のみ。
いずれも彼の存命中にはほとんど売れなかったそうです。
また、特に印象に残ったのは、宮沢賢治が死の10日前に教え子に宛てた最期の手紙の内容です。
私のかういふ惨めな失敗はたゞもう今日の時代一般の巨きな病、「慢」といふものの一支流に過って身を加へたことに原因します。
僅かばかりの才能とか、器量とか、身分とか財産とかいふものが何かじぶんのからだについたものででもあるかと思ひ、じぶんの仕事を卑しみ、同輩を嘲り、いまにどこからかじぶんを所謂社会の高みへ引揚げに来るものがあるやうに思ひ、空想をのみ生活して却って完全な現在の生活をば味ふこともせず、幾年かゞ空しく過ぎて漸く自分の築いてゐた蜃気楼の消えるのをみては、たゞもう人を怒り世間を憤り従って師友を失ひ憂悶、病を得るといったやうな順序です。
この「慢(まん)」という言葉は、仏教用語で煩悩の一つ。他人と自分を比較して思い上がることを意味します。
宮沢賢治も私たちが日々抱えている「自意識」という病に、同じように苦しんでいたのだと意外に感じました。
そのあとは記念館駐車場の中にある『注文の多い料理店』にちなんだ「山猫軒」でお茶して、再び文化タクシーで新花巻駅に送ってもらい、東京へ戻りました。